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降りしきる雪、その一片が人を満たすとき
 

天気予報を眺めていると、北海道のすぐ北に細長い島があることに気付く。それがサハリン、すなわち樺太である。

現在この地には、終戦後も日本へ引揚げられず、残留せざるを得なかった多くの日系、朝鮮系一世、及びその子孫が住んでおり、戦後、大陸などから移り住んできたロシア系住民らと共に、民族的に非常に複雑な社会を形成し生活している。

その中の一人に、「生きて家族とは二度と会えないと思った」と、私に語ってくれた日本人のおばあさんがいました。彼女は、両親や兄弟を帰すため一人、ソビエト領となった樺太に残ったのでした。

 

当時、絶望にくれたであろう彼女はその後、韓国人の夫と結婚し、定年まで左官として働きながら、やがて子を持ち、孫を持ち…、今ではたくさんの家族に囲まれながら生きています。 

戦後、彼女のような多くの一世たちは、ソビエトによる鉄のカーテンに阻まれ続け、一時帰国団が再び日本の土を踏んだのは、終戦から約45年経った、1991年のことでした。       

彼らひとり一人の人生は、人知れず無数に降りしきる雪のように、一瞬のきらめきを残しては、時を満たしていきます。それを目にしたとき、私たちは彼らから何を受け取ることができるのでしょうか。

 

 
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